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これからのエネルギーを考えるファイスト氏の講演会に参加しました

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4月18日(金)、東京大学の伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホールにて、
「エネルギーシフト・シンポジウム」
~持続可能な社会におけるパッシブ建築デザインの貢献~
というタイトルで開催されました。

まず確認したいのは、このシンポジウムは、単なる「パッシブハウスの普及」が目的ではなく
資源が有限のこの地球において、いかにエネルギーを浪費せずに、生きていけるか?
がテーマだということ。

「パッシブハウス」はその1手段であるということです。




来賓の、井戸井毅氏(環境省地球環境局地球温暖化対策課)と
鎌田紀彦氏(室蘭工業大学特任教授)からの挨拶がありました。

本公演の第1弾は、
環境エネルギー政策研究所(ISEP)の所長であり、パッシブハウスジャパンの理事でもある
飯田哲也さんから「日本における再生可能エネルギーの現状と可能性」
というタイトルで講演されました。

(以下、印象に残った内容を要約)
・日本は温熱(エクセルギー)という概念(考え方)があまりなく、
エネルギーで暖房するモノが増えていった。
・それらは、電気ストーブ、電気ファンヒーター、ガスストーブ、ガスファンヒーター、
石油ストーブ、石油ファンヒーター。これらが、どんどん家の中で増えていって、
有効に使われない状態。エネルギーに無駄がある状態が生まれている。(暖房ガラクタ)
・エネルギー(エクセルギーも含む)を地域や住み手から考える。上からではなく。


第2弾は、今回のメインゲスト、パッシブハウス研究所所長のヴォルフガング・ファイスト氏。


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実にプレゼンが上手で、みな聞き入っていました。

・エネルギー供給0(ゼロ)でも、快適に居住できる住宅づくりを依頼されたのが
パッシブハウスの考え方の始まりで、、それが中国の内陸部での話というのが印象的でした。
・まさしく、エネルギー危機の先端を行っている。なぜなら、今はその問題は地球全体に広がっているからだ。

(パッシブハウスの定義)
1)断熱材を適切に使用し熱を逃がさない
2)熱橋を回避している
3)窓を適切に使用している
4)気密性が高い
5)熱交換機が適切である


・ドイツのフランクフルト、ブルッセル、ルーデンブルクは2016年、パッシブハウスが義務化される。
また、
・EUでは、2019年から必須とされる。

義務化、必須が、世界で現実に実施される予定であることを、日本で住む人、日本で建設に関わっている人は
本当に知っているのか?

日本は考え方や技術も遅れている。
窓の性能は、中国より劣っている。

次に、「低エクセルギー利用技術と建築環境」というタイトルで、
東京都市大学 環境学部大学院環境情報学研究科の宿谷昌則氏の講演。

・エクセルギーという言葉自体が、まだ浸透していない。
・今後のエネルギー危機を回避するひとつとして、このエクセルギーの利用が不可欠となる。

・高い熱源で暖める(暖房する)のではなく、小さな温度差でできるエクセルギーを利用する。
また、人間の体にも健康で快適である。
・室温(空気の温度)よりも、壁の温度(壁を触ったときの暖かさ)の方が大切。
それは放射熱による。放射温度のコントロールできると快適な住宅ができる。
・輻射熱をコントロールする壁も、暖房のひとつとして考える。

エクセルギーは物理の言葉だが、居住性を表すの非常に大切な概念である。


次に、パッシブハウスジャパン代表理事の森みわ氏から、
「日本の気候風土に合わせたパッシブハウスの実例」というタイトルで講演。

ドイツと日本でのパッシブハウス実践者として、それぞれの気候の良さと
それに合わした快適な住宅とはどういうものかというのを、よく知り尽くしている人だと思う。

・「放射温度を整える(コントロールする)」



パネルディスカッションでは、
軽井沢パッシブハウスのオーナーのケビン氏の実際の感想が印象的だった。
「もう普通の家には住めない」
「空気の読めない建築家になってほしくない」

東北芸術大学教授の竹内氏は
「エネルギー0でも、快適な家は可能」
「日本は、年間23兆円も石油を買っている(輸入している)事実」

東京大学大学院准教授の前氏は、
「パフォーマンスギャップを0にしたい」
※パフォーマンスギャップとは、計画設計中に、これくらいだろうと予測している性能(機能)が、
完成後のパフォーマンスが、予測とのギャップをいう。


それぞれ、パッシブハウスにいろんな立場から関わる方々が
意見をぶつけて非常に勉強になった。

日頃の業務では、このような考え方にであうことはない。
しかし、日頃の業務から、これらを意識しておくことが重要である。

市場のニーズを気にしていると、惰性なサービスしかできないと思う。
専門家として、人間として、できる範囲でよいものを作っていきたいと思う。


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山本和代

Author:山本和代
快適で健康、家族が幸せになる住まいづくりをする女性建築士・くらしお設計室<一級建築士事務所 街角企画株式会社>のブログ【大阪・神戸・京都(京阪神)】
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